top of page

なぜ結婚や家族の記念に湿板写真を選ぶ人がいるのか

  • 7 日前
  • 読了時間: 2分

スタジオには、結婚や家族の記念として湿板写真を撮りに来られる方が多くいらっしゃいます。新婚のご夫婦、結婚記念日を迎えたご夫婦、お子さんが生まれたご家族。


撮影後に「なぜ湿板写真を選んだのですか」と伺うと、「形として残したかったから」という言葉をよく聞きます。



今は写真のほとんどがデジタルカメラやスマートフォンで撮影されたものです。レンズを通った光は電気信号に変換され、データとして保存されます。


一方、湿板写真では光によって銀が反応し、その銀の粒子が像になります。考えてみると不思議な仕組みです。被写体から反射した光がレンズを通り、目に見えないほど小さな銀の粒子として定着する。発明された当初は「自然の鉛筆」とも呼ばれていました。


そんな説明をすると、多くの方が驚かれます。湿板写真は、写真である前に一種の「物」でもあります。








そして湿板写真の一種であるアンブロタイプは、ガラスの上に銀で像ができる写真です。

ガラスは決して丈夫な素材ではありません。落とせば割れますし、保管にも気を使います。だから普通に考えれば、長く残る写真には向いていないはずです。





ところが、19世紀に作られたアンブロタイプは今も数多く残っています。もちろん失われたものもありますが、ケースに収められ、大切に扱われてきた写真が今日まで残っており、オークションなどで目にすることもあります。


私はこのことを少し興味深く感じています。私たちは、丈夫なものほど残ると思いがちです。


けれど実際には、壊れやすいからこそ丁寧に扱われ、結果として長く残るものもあります。アンブロタイプは、その一例なのかもしれません。






写真がデータになった時代に、湿板写真は再び「物」としての価値が見直されてきたように思います。

そしてその物は、脆いからこそ残ることがある。


記念写真に湿板写真を選ぶ方々も、意識しているかどうかは別として、そうした部分に価値を感じているのかもしれません。

単なる画像ではなく、一枚の物として手元に残る写真。

それが湿板写真の魅力のひとつだと思っています。









 
 

©2025 Foto Studio Argento

bottom of page