top of page
湿板Journal


なぜ湿板写真は「一発勝負」なのか?
“濡れている間”にしか写らない理由 この記事では、アンブロタイプやティンタイプの湿板写真について話します。 撮影に来たお客さんに湿板写真の流れを説明すると、「一発勝負なんですね」と言われることがあります。 確かにそうです。ただしそれは、緊張感を煽るためでも、精神論でもありません。湿板写真は、工程と化学反応の性質そのものが「一発勝負」になるようにできています。 まずは、他の写真との違いを整理してみます。 なぜ「やり直しがきかない」と言われるのか デジタル写真は、撮影後すぐに結果を確認できます。うまくいかなければ撮り直せばいいし、露出が多少ズレていても後処理で調整できます。 フィルム写真にもある程度の許容幅があります。露出が極端に外れていなければ、プリントでどうにかなるものです。 湿板写真はそうはいきません。 露出の許容幅は非常に狭く、感覚的には1/4段以内に収めないといけません。少しでも適正な露出から外れただけで、白飛びや黒つぶれが起きてしまうのです。しかもその結果が、デジタル写真のようにすぐには見えません。 厄介なのは、シャッターを切る時点で、す
2025年12月30日


光で立ち上がる銀の像
アンブロタイプとティンタイプ アンブロタイプやティンタイプを初めて目にした人の多くは、こう思うかもしれません。「あれ、少し暗めの写真だな」と。 確かに、これらの湿板写真は、最も明るい部分でも、紙にプリントされた写真のように真っ白にはなりません。そのため、シャドーからハイライ...
2025年10月5日


湿板ポートレートはなぜ強く迫るのか?
湿板写真の魅力のひとつに、他の写真にはない視覚的なインパクトがあります。スマホや現代のフィルム写真と違って、どこか「見られている」ような視線の強さがあり、被写体の存在感が立ち上がってくるのです。 その理由を考えてみると、どうやら三つの要素が関わっているように思います。ここで...
2025年9月12日


明治のスタジオ写真に見る”近代”のはじまり
湿板写真が映し出した「時代のまなざし」 先日、古いガラス写真を手に入れました。桐箱に入った一枚のガラス写真で、撮影は明治十三年です。写っているのは、和装の若い男女ふたり。頭巾をかぶった女性がどこか気になって、購入しました。 小さな写真の中にある、違和感...
2025年8月5日


アウラとは何か?湿板写真が教えてくれる「写真の原点」
なぜ、“本当に残る写真”は少ないのか? 私たちはスマホで毎日たくさんの写真を撮ります。旅行に行けば数百枚、子どもの成長も日々記録しているかもしれません。けれど、ふと考えてみると――「心に残る一枚」だけを挙げるのは、意外と難しいものです。...
2025年6月27日


湿板写真は“銀塩”なの?そもそも銀塩写真って何?
写真好きの間では「銀塩写真」や「フィルム独特の質感」といった言葉を耳にすることがあります。デジタル全盛の今でも、銀塩写真ならではの味わいに惹かれる人は少なくありません。 実は、私が撮影やワークショップで扱っている「湿板写真」も、銀塩写真の一種です。それも、もっとも初期段階の...
2025年5月29日


アンブロタイプかティンタイプか?記憶を写す二つの素材
湿板写真は、19世紀半ばに登場した写真技法で、ガラス(アンブロタイプ)や金属(ティンタイプ)の板に直接像を定着させる方法です。現代のように紙にプリントするのではなく、素材そのものに像を焼き付けるこの技法では、使用する素材によって写真の“表情”が大きく変わります。ここでは、代...
2025年5月19日


湿板写真とは?スマホ写真とどう違うのか
スマホ全盛の時代に、あえて湿板写真? スマートフォンで、誰もが気軽に写真を撮れる今の時代。 そんな便利さとは真逆を行くのが、湿板写真という技法です。 1850年代──まだフィルムすら存在しなかった時代に生まれた、硝子や金属のプレートに薬品で直接像を焼き付ける湿板写真。その手...
2025年5月9日


湿板写真の歴史(日本)
日本に写真術が最初に到来したのは、1848年で、オランダからのダゲレオタイプが長崎で輸入されたことに始まります。ダゲレオタイプはフランス人のダゲールが完成させた技法で、銅板に銀メッキを施し、沃素の蒸気をあてた感光板 を、カメラで撮影し、水銀蒸気で現像した後 、チオ硫酸 ナトリウム(ハイポ)で 定着するという方法です。ダゲレオタイプは1939年ににフランス政府によって技術が公開され、機材や手引書なども発売されたため、欧米では公表後すぐに写真スタジオが誕生し、実用的な写真技術として普及していきました。日本でのダゲレオタイプについての記録は乏しく、現存するものとしては薩摩藩で撮影された「島津斉彬像」のみと言われています。 一方、湿板写真(コロディオン湿板方式)は1851年にイギリスのフレデリック・スコット・アーチャーが発明した技法で、日本には1854年頃から、長崎 、横浜 、函館という三つの開港場から輸入されました。ダゲレオタイプの割とすぐ後だったこともあり、日本における写真の幕開けは湿板写真からと言われています。 日本における写真の開祖は上野
2024年1月1日


湿板写真(アンブロタイプ・ティンタイプ)の原理
※以下は、湿板写真の原理を説明するための一般的な工程解説です。実際の制作では、安全性や管理のしやすさを考慮し、材料や方法を選択しています。 「塩化」コロジオンの塗布 湿板写真で使う プレイン・コロジオン (未調合のコロジオン)は、主にニトロセルロースをジエチルエーテルとアルコールに溶かした透明な溶液です。 このプレイン・コロジオンに、ヨウ化物や臭化物といった「塩(えん)」を加えると、 塩化(= salted)コロジオン になりますここでいう「塩化」とは“塩素を加える”という意味ではなく、「塩(=ハロゲン化物)」を溶かして調合したという意味です。 湿板写真では、この塩化コロジオンをプレート(ガラス板やアルミプレート)に塗布することから始まります。また塩化コロジオン自体は感光性を持ちませんが、次の工程で感光性のあるハロゲン化銀が形成されます。 ※上記以外の塩を用いるコロジオンレシピも複数あり、調子の現れ方が微妙に異なります。 銀浴(プレートの感光化) 塩化コロジオンを塗布したガラス板を硝酸銀の溶液に浸すことを銀浴といいます。銀浴時には塩化物イオン
2023年1月1日
bottom of page
